高級豚肉として知られるイベリコ豚の、家庭での簡単で美味しい料理の作り方・レシピを、実際の調理過程写真をまじえながら解説します。あわせて、イベリコ豚の定義、格付け、おすすめの通販・販売店などもご紹介します。
■イベリコ豚とは
●どんぐりを食べてなくてもイベリコ豚
イベリコ豚は、スペイン語で:Cerdo Ibéricoと呼ばれる豚の名称で、品種としては、イベリア種の純血個体、または、イベリア種とデュロック種を交配させた豚(イベリア種の血統が50%以上であること)のなかでも、スペイン政府が認証したものにかぎりイベリコ豚と呼びます。
よく、イベリコ豚=どんぐりを食べて育った豚と認識されていますは、これは誤りで、イベリコ豚とは血統とスペイン政府の認証によって決められます。
なお、どんぐりを食べて育てられたイベリコ豚は、「べジョータ」と呼ばれ、その他の飼料で育てられたイベリコ豚は「レセボ」「セボ・デ・カンポ」「セボ」と呼ばれます。
●イベリコ豚の飼育方法
イベリコ豚の飼育方法は、主に以下の三つの期間に分けられ、ドングリの実る期間との関係で、生まれた時期にべジョータ候補とセボ候補に分けられます。いずれも、最大の特徴はモンタネーラと呼ばれる放牧飼育期があることで、この時期に自然の植物やドングリを食べながら運動もすることで、独特の味わいと食感が生まれます。○哺乳期:生まれてから離乳するまで
○予備期:体重が80kgになるまで
○放牧期:体重80kgから出荷まで
なお、ドングリが実る10月前後が放牧期間にあたる7~8月に生まれた子豚がべジョータ候補になります。
■イベリコ豚の格付け
●餌と体重増加と肉質で四段階に分けられる
イベリコ豚の格付け・ランキングは食べた飼料、血統、放牧環境や体重増加率によって決められますが、簡単に説明すると以下のようになります。
○デ・ベジョータ
放牧期にどんぐりを食べ、なおかつ放牧期間前と比べ出荷時に46%以上の体重増加があり、肉質が決められた基準をクリアしたイベリコ豚
○デ・レセボ
出荷時の体重増加がべジョータの基準に満たず、引き続き自然餌入りの人工飼料を与え、体重を増加させたイベリコ豚。2014年に正式には廃止されたランキング名。
○デ・セボ・デ・カンポ
最低60日間の放牧期間があり、自生植物、穀物飼料を与えて肥育させたイベリコ豚。
○デ・セボ
穀物飼料だけで肥育されたイベリコ豚。
※べジョータのなかでも最高品質のものをレアル・べジョータと呼称する場合もあります。
●レアル・べジョータとは
全イベリコ豚のなかでも上位2%しかいない「レアル・べジョータ」とは、べジョータのなかでもイベリア種の純血個体で、食べたドングリの樹齢が200年以上のものに限り呼称されます。通常のべジョータよりもさらにオレイン酸・リノレン酸の含有率の高いのが特徴です。
※レアル・べジョータはスペイン政府の基準ではなく民間の基準です。
■イベリコ豚調理の基本
●素材の風味を活かしてシンプルな味つけを主体にする
イベリコ豚を牛肉で例えると、「イベリコ豚」=「和牛」、「べジョータ」=「高級和牛」、「レアル・べジョータ」=「高級和牛A5ランク」といったイメージになります。ですので、素材として非常に風味が良く、また、臭みもありません。
素材の風味を楽しむためにも、濃い味つけや香りの強い野菜・スパイスで調理することは避けるのが基本です。何も足さない、何も引かない、といったシンプルさこそが大切になります。
■イベリコ豚の野菜炒め
●パプリカと合わせてスペイン風
豚肉料理の定番である野菜炒めを、イベリコ豚で作るとワンランクもツーランクも上の料理になります。
今回は、スペイン風にパプリカと合わせて野菜炒めを作りました。なお、使用したのはセボ・デ・カンポの肩ロースです。
まずは、フライパンでイベリコ豚を炒めます。テフロン加工のフライパンで、油を敷かずに炒めるのがポイントで、こうすることにより、余分な食用油の雑味が混じることを防げます。
味付けは塩コショウのみでシンプルにし、イベリコ豚が炒めあがったら、別のフライパンに移します。
イベリコ豚を炒めたフライパンには、脂身の油が残っているので、そこで野菜を炒めていきます。
今回は、パプリカに加えて季節の夏野菜であるピーマン・ナス・エリンギを使いました。
イベリコ豚の脂を絡めるように、強火で素早くシャキっと野菜を炒め、塩コショウで味付けをします。
お皿に炒め野菜を敷き、別のフライパンでほどよく加熱したイベリコ豚の炒め肉を盛り付けて完成です。
■イベリコ豚のステーキ
●フライパンに塩コショウをして肉の持つ脂だけで焼き上げる
イベリコ豚のなかでも最高肉質のレアル・ベジョータは、やはりステーキでシンプルにいただくのがスタンダードです。
まず、肉ではなくフライパンに塩コショウをします。
その上に肉を置きます。なお、レアル・ベジョータの料理に共通のポイントですが、調理には他の油は使用せず、肉自体の持つ脂を利用することで、最高品質の風味を持つ脂身に雑味を混ぜないようにします。
5mmほど焼けたら、肉を裏返し、ニンニクを乗せ(好みで)、蓋をして弱火で5分ほど蒸し焼きにして完成です。
■イベリコ豚のしょうが焼き
●素材を活かしあっさりとした味付けで
豚肉と相性の良い生姜焼きは、レアル・ベジョータで作っても非常に美味しくマッチします。素材を活かし、あっさりとした味付けにするのがポイントです。
まずは、熱したフライパンに刻みショウガを敷きます。
その上に肉を置きます。
5mmほど焼けたら、肉を裏返し、蓋をして弱火で5分ほど蒸し焼きにします。
生姜焼きのタレは、醤油:みりん:砂糖=1:1:1がおすすめです。
肉が焼き上がったら、仕上げにタレをかけて一煮立ちさせて完成です。
■イベリコ豚のトンカツ(カツレット)
●肉自体の持つ脂だけで揚げるのがポイント
レアル・べジョータの料理方法としてとてもおすすめなのがトンカツ(カツレット)です。通常のトンカツと違い、フライパンを使って肉自体の持つ油だけで焼くように揚げていくのがポイントですが、これが最高品質のレアル・べジョータに他の油の雑味を混ぜないためです。
まずは、下ごしらえです。肉、かたくり粉、溶き卵、パン粉、塩コショウを用意します。
肉に塩コショウをし、かたくり粉を表面にまぶします。
続いて、溶き卵にくぐらせて、パン粉をつけていきます。
下ごしらえが終わったら、加熱していきますが、衣が焦げないように調理していくのが最大のポイントです。フライパンの片側に火を当て、肉はその反対側で「伝道熱」で焼き揚げていきます。
火はとろ火にし、蓋をして蒸し焼きにしますが、途中で何度もひっくり返し、衣が焦げるのを防ぎます。
なかまで火が通ったら、最後に強火でカラっと焼き揚げて完成です。
■イベリコ豚のしゃぶしゃぶ
●彩りよく盛りつけたい
こちらが、イベリコ豚セポ・デ・カンポで作った豚しゃぶです。彩りよく野菜も盛りつけたいですね。素材の味を活かすため、ポン酢でさっぱりといただくのがおすすめです。
■イベリコ豚の豚丼
●素材の風味を活かして塩味で
イベリコ豚を豚丼にするなら、素材の風味を活かしたネギ塩味がおすすめです。こちらも野菜の彩りを大切に盛りつけたいですね。
■イベリコ豚の焼きうどん
●薄口醤油だけのシンプルな味付けだけで十分に濃厚
こちらは、イベリコ豚(セボ・デ・カンポ)の切り落としを使った焼きうどんです。
作り方はいたって簡単で、炒めたイベリコ豚と野菜にうどんを混ぜて焼くだけです。
味付けは素材の風味を活かすために薄口醤油だけと非常にシンプルですが、イベリコ豚自体の風味が豊かなので、十分すぎるほど濃厚な味わいになります。
なお、イベリコ豚はキノコ類と風味の相性が良いので、焼きうどんにもキノコを入れると美味しさがワンランクアップします。詳しくは、下記のレシピ記事をご参照ください。
【イベリコ豚とキノコの焼きうどん】大地の恵み豊かな料理レシピ
■イベリコ豚のキノコ炒め
イベリコ豚はキノコとの相性も抜群です。
最大のポイントは、イベリコ豚を炒めすぎないように注意することです。タイミングよく各素材を炒めていきましょう。
■イベリコ豚のパスタ料理
イベリコ豚はパスタ料理でも美味しくいただけますが、パスタは脂が絡みやすいフィトチーネやペンネがおすすめです。
なお、味付けは塩コショウだけか、ニンニクと唐辛子でペペロンチーノ風にするなど、シンプルが一番です。パスタ料理の詳しいレシピは、下記の記事をご参照ください。
【イベリコ豚のフィットチーネ】セポ・デ・カンポ肉の美味しいレシピ
【イベリコ豚のシンプルパスタ】ハード筋トレ後の筋肥大におすすめ
■イベリコ豚の塩焼きそば
イベリコ豚はあっさりシンプルな塩焼きそばにしても非常に美味しくいただけます。
普通の焼きそばとは違い、野菜と麺にイベリコ豚の風味を染み込ませるコツがありますので、詳しくは下記の個別レシピ記事をご参照ください。
【イベリコ豚の塩焼きそば】シンプルあっさりが美味しいレシピ・作り方
■おすすめの通販イベリコ豚
●おすすめのセボ・デ・カンポ
こちらが実際に購入して調理に使用したイベリコ豚のセボ・デ・カンポ肉です。
▼販売店のショップページ
販売店は、イベリコ豚専門店スエヒロ家です。
●おすすめのレアル・ベジョータ
こちらが実際に購入して調理に使用したイベリコ豚のレアル・ベジョータ肉です。
▼販売店のショップページ
販売店は、イベリコ豚専門店イベリコ屋です。